マンションの管理費や修繕積立金の管理や変更と金額について

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マンションの管理費とは

マンションは購入後から、管理費を毎月納めることが義務付けられています。
管理費の用途としては、日常の清掃業務、共用部分の水道光熱費、管理組合で使う消耗品の購入のための資金などとして活用されます。目に見える分かりやすい経費だけではなく、通信費や資料の印刷代、損害保険料なども管理費でまかなわれています。
そして、マンション管理をすべて自主管理で行う場合は実質かかる経費のみに支出されますが、もし管理会社に委託する場合(多くマンションがこちら)は管理業務の委託料が発生し、それも管理費として集めたお財布から支出されます。

 

Kuronekoのマンションの例
管理費の支出が約5200万円で、そのうち管理委託料が約1500万円(約29%)。それを管理会社に支払っています。

管理費の用途

最終的には自分たちの管理規約で決められますが、国交省がリリースしているマンション標準管理規約では以下のように規定されています。

第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
十 管理組合の運営に要する費用
十一 その他第32条に定める業務に要する費用(次条に規定する経費を
除く。)

管理費の金額

自分が毎日払っているマンション管理費の金額は、はたして適正なのか話題に上ることは多いようです。
金額はいくらくらいかザッと調べると、月額15000円程度が目安となるようです。
管理費の金額は、同じマンションでも部屋によって違いがあるのは周知の事実です。一般に、管理費は住戸の専有面積によってランク分けがあり、広い部屋ほど金額がアップする傾向があります。
ちなみに、管理費の金額は、ワンルームマンションはファミリータイプと比較して、割高な印象をもつ人は多いようです。実際、ワンルームマンションでは、金額がファミリータイプの2〜3倍程度というケースが多くみられます。

もともとがちょっと高め設定の管理費の金額

新築でマンションを購入する時、すでに「管理費や修繕積立金はいくらですよ」と定まっています。
ただ、その金額は管理組合が総会で決議した結果の金額ではなく、デベロッパーが「このくらいで」と定めた金額です。
管理委託する管理会社があらかじめデベロッパーの関連会社の場合も多く、その場合、管理費は高めにしておかないと管理会社は管理委託料を取ることができません。
なので、管理費はもともと高めに設定されることが多く、管理委託費の金額に関しても「適正」かどうか、マンションの購入者はしっかりとチェックする必要があります。

マンションの修繕積立金とは

マンションは購入後、管理費とは別に修繕積立金も支払う義務があります。
修繕積立金とは、将来の大規模修繕を念頭に、区分所有者から毎月一定額を徴収して積み立てる仕組みのことです。
マンションの修繕積立金は、長期修繕計画を元に月々の金額が算定されます。長期修繕計画は、新築なら30年以上、既存マンションは見直しから25年以上の長いスパンで立てられ、定期的な見直しで金額が変更されることもあります。
マンションの修繕積立金が不足した場合、区分所有者からの一時金の徴収や値上げで対応することになります。
「値上げが大好き」という人はいませんから、反対されることも少なくありません。
ただ、そうすると必要な修繕やメンテナンスができなくなり、資産価値はやがて下落するでしょう。
値上げ以外には、「管理組合で借金をする」という手段もありますが、根本的解決策ではありません。修繕費用は入居状況や経年劣化も考慮し、計画的な積み立てが大切です。

修繕積立金の金額

マンション修繕積立金の金額については、国交省がガイドラインを公表しています。
同省ホームページには目安金額の一覧があり、修繕積立金の解説なども充実しています。
修繕積立金の金額は、徴収方法に2種類あります。
そのうち「均等方式」は計画期間中は毎月同一額を、「段階増額方式」は段階的に金額がアップする徴収方法です。
あえて相場めいたものをあげると、月額6〜7000円が目安となりそうです。
修繕積立金の金額は、高経年マンションほど高い傾向があります。
分譲時に低く設定していたケースでは、修繕積立金の不足が現在問題化しています。値上げや一時金の徴収で切り抜けようにも反対が多すぎて、なかなか思い通りにいかないようです。

もともとがちょっと低め設定の修繕積立金の金額

前の項目でもお伝えしましたが、マンションを購入する時、すでに「管理費や修繕積立金はいくらですよ」とデベロッパーが定めています。そして、マンションを販売するときに、管理費や修繕積立金があまりに高いと、営業的に不利(お客さんに「高い」という印象を与える)になります。ただ、「管理費は関連管理会社の売上にもつながるのでちょっと高め」のケースが多いですが、一方、修繕積立金についてはその逆が多いです。
修繕積立金は「毎年すぐにガンガン使う」というお金ではなく、中長期修繕計画などによって行う大型メンテナンスの時です。新築時には多少低い金額設定でもすぐには誰も困りません。もちろん、あとあと、適正な金額に値上げの必要がありますが、当初は営業的見地から、ちょっと安めの金額設定が多いようです。

管理費や修繕積立金の管理

マンションの管理費や修繕積立金の管理ですが、標準管理規約には次のようにあります。

「修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」

これはつまり、「ふたつをごちゃごちゃにしないでちゃんと分別して管理してね」、ということです。
また、管理組合がお金の管理を管理会社に任せている場合には、「管理組合の財産を管理会社名義の銀行口座で保管することは禁止」されていおり(マンション管理適正化法第76条)、「保管口座の名義は管理組合名義としなくてはならない」とされています。これは、管理会社が預かったお金を自社名義の口座に保管したまま倒産した時、組合や区分所有者に不利益がいかないようにするための規定です。
上記の縛りの上で、現実的には管理会社が行っています(管理業務を管理会社に委託している場合)。

Kuronekoのマンションの例
管理費・修繕積立金・駐車場使用料金などは一括して銀行から口座引き落とし。
管理組合の役員も管理人も一切「お金」に触ることなく集金されています。
口座の管理は管理会社が行い、総会や(必要なら)理事会などでその報告を受ける、感じ。
もちろん役員(監事)のチェックとハンコはもらいます。

ただ一義的には、管理組合が管理することになっており、組合業務や会計に不正や間違いがないか、厳しくチェックするきわめて重要な役職が監事になります。
監事は、管理費や修繕積立金など財産状況を管理し、総会では業務執行の結果とあわせて報告するのが仕事です。管理は理事会に出席して発言はできますが、通常、議決権はありません。ただ、これも「建前」で、実際の監事役員は毎月新任で、そういうった業務やチェック作業に精通しているわけではないので、ほぼほぼ「めくら判」なのが実態と思います。なので、監事がハンコを押す前の段階で管理会社がしっかりと数字を整え、理事全員がそれをチェックしなくてはなりません。
また、監事のチェック後であっても、総会に提出される会計報告については、組合員全員の目で「おかしいところがないか」しっかりとチェックしましょう。専門的見地がない場合でも、「例年とこの数字が違うのはなぜか?」「この数字が予算をオーバーしているのはなぜか?」など、いろいろ気がつくことがあるはずです。

また、自主管理の場合は管理会社へ丸投げできませんから、基本的に自分たちですべてを管理します。その場合でも、マンション管理士など外部の専門家に、管理費や修繕積立金の管理を依頼するケースもあり、助言を受けられるのもメリットです。

マンションの管理費や修繕積立金の滞納問題

マンションは1つの共同生活体とみなすことができますが、やむを得ず管理費や修繕積立金を滞納する人も中にはいます。そして、ひどいケースでは、区分所有者の大半が滞納者と化し、社会問題化してニュースになることもありました(中古物件でのニュース)。
マンションは、管理費や修繕積立金の滞納者が増えると、会計報告上の金額と実際の残高で差が開いてしまいます。帳簿上は黒字なのに、実態はお金が足りないというわけで、管理組合の運営に支障が出ないよう、値上げが決議されるケースもあります。
滞納者を減らすには、管理費や修繕積立金の必要性を訴え、滞納のデメリットを納得してもらうことです。また、理事会の月次報告書では滞納状況を確認し、早め早めに対策を立てることが大切です。
また、滞納が生じた時、どのような手順で督促を行い、最終的にはどういう手続まで行うのかを規約であらかじめ定めておくべきです。そこがしっかりしていれば、「業務委託した管理会社」は粛々と督促作業を行え、「滞納問題に直面した役員」が悩むことなく決断や行動ができます。

マンションの管理費や修繕積立金の督促

マンションの管理費や修繕積立金の滞納者に対し、督促という手段に訴えることがあります。
督促方法の一例ですが、滞納期間3ヵ月以内なら、電話・訪問・書面と比較的おだやかなものです。
そして、マンションの管理費や修繕積立金の滞納期間が3ヵ月を超えれば、督促方法はより強めになります。金額が膨らむと、支払う側も徴収する側も負担が増えるので、早めのアクションがポイントです。
方法としては、管理組合の理事会の代表者が面談に訪れる、また理事長名で内容証明郵便による督促状などがあげられます。
マンションの管理費や修繕積立金の滞納期間が6ヵ月を超えると、法的手続きの段階へというケースが多くなります。法的手続きには、支払督促、小額訴訟、通常訴訟の3方法がありますが、滞納日から5年で時効になるので、早めに手続きをとる必要があります。先程も記しましたが、こういった督促の方法や手順は、早めに規約で定めておいたほうがよいです。

マンションの管理費や修繕積立金の変更

マンションの管理費や修繕積立金は、必要ならば金額の変更(多くは値上げ)で対応します。

●現状の数字がどうで、このままだとどうなるのか?
●「今、どうする必要があって」その結果、どんな将来になるのか?

この情報わかりやすくまとめ、区分所有者に説明し、理解をしてもらうのが第一歩です。
多くの場合、「将来、こんなふうにお金が足りなくなるから、早めに値上げしようと」という話しがスタートで、「話しはわかるけど、上げるのはまだ先でいいんじゃない」という反論が出てきます。
なので、「今からやらないと大変」という説明が何度となく必要になるかもしれません。

変更手続きは管理組合の理事会だけでは不十分です。総会で決議が必要な重要案件になります。
国交省の標準管理規約には「総会の議決事項」として次のようにあります。

第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
一 収支決算及び事業報告
二 収支予算及び事業計画
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための
資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の
経費のための修繕積立金の取崩し
八 修繕積立金の保管及び運用方法
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九 第21条第2項に定める管理の実施
十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びに
これらの訴えを提起すべき者の選任
十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条
第1項の場合のマンション敷地売却
十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十五 その他管理組合の業務に関する重要事項

ここで、どういう決議が必要になるか、ですが、区分所有法には次のようにあります。

第19条
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。

標準管理規約では以下になります

第61条2項
管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して」第25条第2項(管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持ち分に応じて算出するものとする。)に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。

とあり、特に特別決議については記されていません。
では特別決議が必要な案件はというと区分所有法にはこう規定されています。

1.管理規約の設定・変更・廃止(同法第31条)
2.管理組合法人の成立(同法第47条)
3.共用部分等の変更(同法第17条・第21条)
4.大規模滅失における建物の復旧(同法第61条第5項)
5.建物の建替え(同法第62条)
6.専有部分の使用禁止の請求(同法第58条)
7.区分所有権の競売の請求(同法第59条)
8.占有者に対する引渡し請求(同法第60条)

ここには、管理費の金額などとは記されていません。つまり、管理費や修繕積立金等の変更は、総会の普通決議事項と考えられますが、注意を要するケースもあります。
たとえば、管理規約の中で「修繕積立金はいくら」といった条文が入っている場合、その金額も規約の一部ともみなされるからです。
また、規約の中で「別表○に従い」「別に定める金額」などと別紙に話しを飛ばしている場合、「その別表も規約の一部」とみなすこともできます。

ただ、神戸地方裁判所は、次のような判断をしました(平成14年11月5日神戸地裁(レ)第90号)。

(管理費の)別表の記載は額が規約の一部に定められているようにも思われるが、規約では、規約変更は特別決議で決するものとするが、他方、管理費等の額については特別決議の対象事項とはされていない。かりに管理費等が規約事項とすると、その額の変更は規約の変更に当たることになるが、これは規約が前記の異なる扱いを定めることと矛盾する。本件規約は管理費等の納入義務を定めるにすぎない

とあります。これは「管理費の額の改定は規約変更に当たらず特別決議を要しない」という判決になります。

それでも、なお難しいケースもあります。
たとえば、この判例が出る以前、「別表も規約の一部」と理解している人も少なくありませんでした。なので、たびたびの金額の変更も特別決議で可決してきた組合の場合、「同様の案件を以前は特別決議で、これからは普通決議で」ということになってしまい、それについては説明と理解を得る必要があると思われます。

Kuroneko
いずれにせよ、「数を頼みのゴリ押し」で決定するのではなく、よい多くの区分所有者の理解を得る努力をすべきなのは言うまでもありません。
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