マンション管理適正化法が作られた理由や条文の内容について

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マンション管理適正化法とは

マンション管理適正化法とは、平たく言えば、マンションで「快適な住環境が確保できるよう」に「管理会社の役割をしっかりと決めておこうよ」と定められた法律で、平成12年に定められ、平成13年8月に施行ました。「マンション」という言葉が法律用語として定義されたのは実がこの法令が初めてで、それまでは「中高層分譲共同住宅」などと呼ばれていました。
「マンション」という言葉が初めて使われた法律ですから、主に、「マンションの資産価値を守るための管理業務」についての項目が定められた法律であり、マンション管理業者(管理会社)の義務に関しての業務規定も含みます。管理業務主任者の設置もできるようになり、有効期間は5年ですが申請の上、更新ができます。
マンション管理適正化法では、修繕費の積立てや管理費など、お金の管理に関する業務も定義しています。悪質な管理業者の処遇についての言及もあり、業務の一時停止、登録の取消しなどの措置がとられることがあります。

マンション管理適正化法が作られた理由

マンション管理適正化法が定められたのは、平成12年になりますが、それまでは「区分所有法」によってマンション管理のさまざまな問題は解釈されてきました。ただ、時代の流れでマンション管理が複雑化したや、区分所有者の意識やニーズの変化、といった流れがあり、それらが新しい法律が作られた理由にあげられます。
もともと区分所有法は、民法の特別法の位置づけで定められたもので、「一物一権主義」という民法の大前提を逸脱する「区分所有」を是とするための法律です。ですから、マンションの実際の管理現場のさまざまな問題に細かく対応できません。そこで、マンション管理適正化法が必要になったというわけです。

マンションの管理に関わる人の役割を明確に

マンション管理にあたっては、オーナーである「区分所有者」、その区分所有者全員で結成する「管理組合」、管理を委託される「管理会社」、管理をサポートする「専門家や行政」と、さまざまな立場の人たちが関わります。
これまでは、これらの人たちの役割などの規定があやふやでした。そこで、この法律では、これらの人たちの役割が規定しています。

たとえば、マンションの区分所有者になれば、他の区分所有者とともに管理組合を結成し、自主的に共用部分の維持管理に務める義務があります。もちろんその一部あるいは全部を民間の管理を行う会社に委託することもできますし、多くのマンションがその形態をとっているはずですが、管理の主体はあくまでも区分所有者であり、その人達で構成する管理組合です。

また、多くの管理組合が専門の業者、つまり管理会社になんらかの業務を委託していますが、すべてのマンションの管理会社がパーフェクトな管理業務ができているわけではありません。中には悪質な管理会社やずさんな管理会社があるかもしれません。
ですから、管理会社なるものは、どのようなことを勉強してどんな業務を執り行うか、ということも明確にしています。

どうしてこのようなことを明文化しなくてはいけなかったか=それがこの法律が作られた多くの理由だと考えられますが、大雑把にいえば次の二点が理由と言えるでしょう。

① 自ら率先して管理を行わなければいけない区分所有者や管理組合の「意識が低く」、なおざりな管理が少なくなかった。
② 上記をいいことに、ずさんな管理業務によってお金だけ稼ごうとする「意識の低い」管理会社が存在した。

この状態に枠をはめるため、マンション管理適正化法が立案されたということではないでしょうか。

以下が国交省のホームページに掲載されているマンション管理適正化法についてのカラーパンフレットです。

マンション管理適正化法の解説

法律の原典は、「電子政府の総合窓口」というサイトで公開されています。
リンク→http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=412AC1000000149

法律はマンション管理や住環境の環境を骨子とし、全部で113条の条文によって構成されています。
近年になって生まれた法律ということもあって、条文の文章そのものはさほど難解ではありません。
そのためか、マンションの標準規約に付帯される「公式コメント」的な解説も用意されていませんが、民間のサイトや書籍などで解説がなされていることもあって、それらの解説を補助資料とすれば専門家でなくとも十分に理解可能です。
たとえば、管理を委託する場合でも、区分所有者側が主導権を握ることが大切、というような解説もなされていますが、もしそこがしっかりしているならば、おそらくちゃんとした管理会社と委託契約をしていることでしょう。そうして、「区分所有者が自分ごととして管理に一生懸命努め、ちゃんとした管理会社がそれをサポートすること」が大切だよ、というわけです。
ということで、この法律の背骨となるところは以下です。

① マンションの管理の基本は「自分たちでやる」ということ(管理の主体は区分所有者)
② 管理業務を委託する管理会社は法令に則った国家資格者が在籍し、国交省への登録が必要(管理会社の品質基準)
③ 管理組合をサポートするための専門資格や専門組織についても定めたよ

また、マンション管理適正化法の制定にあわせ、マンション管理士という公的資格が新しく創設され、相談や解説などの業務を行っています。管理会社の利益相反行為により、管理組合や居住者が不利益をこうむった場合、国交省地方局に申告することができます。

主な条文についての解説

マンション管理適正化法の76条について

マンション管理適正化法87条は、管理組合の財産の分別管理を規定した条文です。

(財産の分別管理)
第七十六条  マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。

つまりは「管理会社の財産」「管理組合の財産」、これをちゃんと分別して管理しなさいということです。想像できる場面としては、管理組合が取り扱う管理費や修繕積立金などの「お金の管理」を民間の管理会社へ委託するシーンです。たとえばあずかったお金を、株式会社〇〇管理という管理会社が自分たちの名義の口座で保管したまま倒産したとき、預けた管理組合のお金は戻ってこない可能性がでてきます。それを防ぐための条文です。

マンション管理適正化法の83条について

マンション管理適正化法83条は、管理業者に対し登録の取消しについて規定した条文です。

第八十三条  国土交通大臣は、マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
一  第四十七条第一号、第三号又は第五号から第八号までのいずれかに該当するに至ったとき。
二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
三  前条各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による業務の停止の命令に違反したとき。

同法82条は業務停止について定めた条文ですが、83条が適用されれば、管理会社としての存続自体が不可能になります。
マンション管理適正化法の83条は、管理業者が不正行為で、区分所有者に損害を与えた場合に適用されます。登録の取消し後、同法84条の規定で公告されることとなっています。
マンション管理適正化法の83条については実際、情状がとくに重いと判定されたケースに適用されます。取引の公正を阻害するなど、法令違反で区分所有者が不利益をこうむらないよう、83条が歯止めとなっている格好です。

マンション管理適正化法の87条について

マンション管理適正化法87条は「使用人等の秘密保持義務」についての条文です。

第八十七条  マンション管理業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がなく、マンションの管理に関する事務を行ったことに関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理業者の使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様とする。

マンション管理適正化法の95条について

マンション管理適正化法95条は、管理会社を管理するためにあるような条文です。

第九十五条  国土交通大臣は、マンション管理業者の業務の改善向上を図ることを目的とし、かつ、マンション管理業者を社員とする民法第三十四条 の規定により設立された社団法人であって、次項に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、同項に規定する業務を行う者として指定することができる。
2  前項の指定を受けた法人(以下「指定法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。
一  社員の営む業務に関し、社員に対し、この法律又はこの法律に基づく命令を遵守させるための指導、勧告その他の業務を行うこと。
二  社員の営む業務に関する管理組合等からの苦情の解決を行うこと。
三  管理業務主任者その他マンション管理業の業務に従事し、又は従事しようとする者に対し、研修を行うこと。
四  マンション管理業の健全な発達を図るための調査及び研究を行うこと。
五  前各号に掲げるもののほか、マンション管理業者の業務の改善向上を図るために必要な業務を行うこと。
3  指定法人は、前項の業務のほか、国土交通省令で定めるところにより、社員であるマンション管理業者との契約により、当該マンション管理業者が管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費、修繕積立金等の返還債務を負うこととなった場合においてその返還債務を保証する業務(以下「保証 業務」という。)を行うことができる。

最初の文章は、ひとことで言えば「一般社団法人マンション管理業協会」のことです。実際、同協会のホームページには次のような記述があります。

当協会は、適正化法第95条第1項に規定する指定法人に指定され、適正化法第95条第2項第二号に従い、会員であるマンション管理業者の営む業務に関する管理組合等からの苦情解決のお申し出を受け付けています。
お申し出の結果、苦情解決制度で解決を行うことが相当と認めるときは、法律で規定された手続きにもとづいて公益的な観点から苦情解決に向けた助言、調査等を行い、当該会員に対して迅速、的確に対応いたします。

で、マンション管理適正化法の95条についてみると、管理団体は基本的に一「般社団法人」になっているのが特徴的です。マンション管理業協会は一般社団法人で、もともとは「社団法人高層住宅管理業協会」として平成13年に国による指定・登録を受け、平成25年に「マンション管理業協会」に名称変更しました。
マンション管理適正化法の95条については、義務と任意的な業務の違いを明確化した一面もあります。マンションの修繕積立金や管理費の返還債務を負うことを保証しているのも、要注目ポイントにあげられます。

マンション管理適正化法の103条について

マンション管理適正化法103条は、宅地建物取引業者が分譲マンションを販売する際、管理組合に設計に関する図書の交付を義務付けた条文です。交付すべき図書として、11種類が指定されています。

第百三条  宅地建物取引業者(宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号 に規定する宅地建物取引業者をいい、同法第七十七条第二項 の規定により宅地建物取引業者とみなされる者(信託業務を兼営する金融機関で政令で定めるもの及び宅地建物取引業法第七十七条第一項の 政令で定める信託会社を含む。)を含む。以下同じ。)は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に 供したことがないものに限る。以下同じ。)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理 者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならな い。
2  前項に定めるもののほか、宅地建物取引業者は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物を分譲する場合においては、当該建物の管理が管理組合に円滑に引き継がれるよう努めなければならない。

マンション管理適正化法の103条で定めた交付図書の内容は、配置図、付近見取図、各階平面図、二面以上の立体図、断面図または矩計図、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図と盛りだくさんです。103条はさらに、構造詳細図および構造計算書と同じもの、指定図書の一部としての仕様書の交付も義務付けています。
マンション管理適正化法の103条は、管理組合に対し施工不良などの防止を目的にした一面もあります。軽微な変更についても、内容を明らかにする必要があります。

マンション管理適正化法の改正のポイント

平成28年に施行されたマンション管理適正化法の改正のポイントは、管理運営の所要規定の見直しがあります。管理組合の役員のなり手が不足している悩みの解消に、外部の専門家の登用が容易になったのも特徴的です。
マンション管理適正化法の改正のポイントに、コミュニティ形成が重視されていることもあげられます。コミュニティ条項を再整理し、タワーマンションなどでは1つの街のようになっています。
マンション管理適正化法の改正のポイントに、管理状況などの情報開示が義務付けられたことは注目に値します。大災害時に、管理組合の意思決定権を強化したことも、要注目ポイントにあげられます。

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